園長の思うこと

~7

テレビコマーシャルで「思い出・貴重な体験」は「価値を付けられない」のキャッチコピーがあり、確かに、自分も学生時代の「思い出・経験」は、金銭に変え難いので上手い例えだと感心した事があります。

今年も「夏休み自由登園」をします。夏の暑い時期は、ゆっくり家で過ごす事や祖父母の家に帰省したり、家族で旅行したりする事も良い事だと思います。夏休みに入ると習慣として出来ていた「早寝・早起き・朝ごはん」の良い習慣も幼稚園に行く必要が無いと崩れてしまう子もいると思うので、習慣を維持する為にも「自由登園」を活用してもらいたいと思います。

 

集団で過ごす経験も以前と比べると、貴重な体験になっていると思いますので、良い思い出にして欲しいです。

~6

幼稚園の裏にある林には、学びが沢山あります。

虫採りに行くと、子供達は雑草に素肌を刺激され、痒いと言っています。「スパッツ履くといいよ」バッタが中々捕まえられず「取ってくれ」と言う子もいます。「ここにいるよ」採っても力が強すぎて潰れている事もあります。「体が柔らかいから優しくね」「イネ科の植物は引っ張ったら手が切れるよ」「樹液が垂れている木は匂うよね。スズメバチがいる事もあるからゆっくり近づこうね」等々。

その都度、話しながら実物を見て虫採りをし、図鑑では分からない事が学べると思います。

 

最近はダニの感染症の被害も全国的に確認されているので、虫採りが好きな子には、スパッツと液状の虫除けスプレーを持たせて下さい。

~5

時短やコスパなど、今は「効率」を重視する傾向ですが、逆に「急がば回れ」という言葉もあります。

先日、NHKで「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」という旅番組を観ていたら、外国の単線を全線、ディーゼルエンジン車両1両で往復、途中下車すると、電車がいつ来るか分からない、又は、時間通りに来ないと言う日本では考えられない番組をみました。

現地の人に、日本の俳優が話しをすると、現地の人が皆「電車は、いつか来るから、

待っていればいい」と明るく幸せそうに言っていました。

普段、急いで歩いていても、幼稚園で子供が一緒だとゆっくり歩いて、気付けない事にも気付けるので効率よりも「今の時間」を楽しむ事が出来ると思います。

 

~4

入園・進級おめでとうございます。

今年は、色々な行事を以前と同じ様に実施していきたいと思います。

幼児期は実体験を通して学ぶことが多いので、子ども同士の関わり合いの時間を今まで以上に大切にしていきたいと思います。

特に「外で遊ぶ」時間を大切にしたいです。

遊ぶことは、主体的な行動なので、一人一人の大切な時間だと思います。友達と遊ぶには、対話をしながら妥協点を探す作業が必要なので「人としての基本」が学べると思います。

以前、園庭で一人、地面に20分ぐらい「絵を描いている子」がいたので、リレーに誘ったのですが「私は絵を描きたいの」と言われ、僕は「気が向いたら声をかけてね」と言いました。その時に、強制参加させたら、その子の大切な「遊びの時間」が無くなってしまったと思います。

今年も職員一同、臨機応変に取り組みたいと思います、保護者の皆様の御協力宜しくお願い致します

 

 

~3

人類学者・山極壽一さんは「ゴリラを研究する事で人間を知る事になる」と言っています。ゴリラは、群れのリーダーが「移動するぞ」と合図を出してもメスゴリラや子どもが「まだ移動しない」と言うと声を出し合い、声が多い方で意思決定をし「争いを回避」します。群れのリーダーの意見が覆る事も多い事が分かりました。これを「ゴリラの民主主義」と言います。

では、なぜ同じ祖先を持つ人間は「戦争」をするのか?

それは言葉が発達する事で、多くの人に情報を物語として伝える事ができる様になり「共感力の暴走」を引き起こせる様になったから。

例えば、「豚の様に汚い奴だ」と言われると「豚の汚さ」を想像して実際の人に会っていなくても、豚と人を重ね合わしてしまう事ができる。本当は敵ではない相手も、敵視させる事ができる様になった。

争いを回避する方法は、ゴリラの様に対面や身体的コミュニケーションを言葉よりも大切にする。一緒に歌う・一緒に食事をする・スポーツをする等が相互理解に役立てられます。他人を知る為には、より原始的な方法の方が理解できるのかも知れません。幼稚園での遊びは、とても必要な事なのだと思います。

~2

サントリーの創業者・鳥井信治郎が、事ある毎に口にしていたという

「やってみなはれ やらな わからしまへんで」と言う言葉は、

挑まなければ成否は分からない。成功の芽まで摘んでしまう事に対する言葉だと思います。

大人でも新しい事に対するアレルギーがあり挑戦を躊躇する、又は反対する人が多いですが、言葉の通り「挑む事」が無ければ、成功も無いし、失敗も無い、学びも無い。

 

子どもが失敗した時に大人が責めるのではなく、挑戦した姿勢を褒め、もう一回挑戦したいと思える環境を作るのが大人の役割だと思います。その繰り返しが、失敗する事に寛容になり、挑戦する人が増える土壌になると思います。

~1

お遊戯会、ご協力して頂き有り難うございました。

以前は、休日に年少から年長まで、通しで3回行い「学年毎に演技の違い・成長の見通し」を保護者の方にも感じて頂ける会でした。

コロナ対応で、我が子のクラスだけ見る「お遊戯会」になりましたが、混み具合を抑制して観る事が出来るこの方法も良いと思います。

難点は、外遊びが3日間出来ない事、他のクラスの演技中は静かに

過ごす事。この様な事も「他者への思いやり・我慢する機会」と捉えれば良い事と思えます。

行事や普段の生活の基本は「楽しく過ごす事」だと思っています。

 

皆様、良いお年をお迎え下さい。

~12

建築家・安藤忠雄さんが、各地に「子ども図書館」を作っています。円柱で天井が高く、声が響く空間があり、そこで「子どもが大声で叫んで喜ぶ。それが良い。当たり前の様に子どもの時に子どもをする。それをしないといけない。」と言っていました。

幼稚園の近くにもトンネルがあり、預かり保育の子を連れて行くと「反響」を楽しんでいたのですが、すぐに「小さい声で」と注意しました。「周囲に人が居ないのなら『自然現象』を楽しむ事もあっても良いのか」とも思いましたが、つい「大人の常識」で注意してしまいました。

 

初めての事や不思議な事に好奇心を掻き立てられる事はいい事だし、実体験を通して抽象的な物の理解にも役立つので、迷惑にならない程度に「外遊び」を楽しみたいです。

~11

「運動会」ご協力ありがとうございました。

皆様から頂いたアンケートは、職員と共に読ませて頂きました。今後に活かせる「ご意見」は、活かしていきたいと思います。

今年も「運動会」が出来て、本当に良かったと思っています。以前は、行事は「開けて当たり前」「人と会えて当たり前」だったと思いますが、感染症の影響で「出来ない・会えない」が常態化しました。

今年は、3年ぶりに「祖父母の観覧」や、飛び入りで「卒園児レース」もありました。

卒園児から「卒園児レース無いの?僕の妹は、年長だから今年が最後、だから走りたかった」と言われ、予定には無かったのですが「卒園児レース」もする事になりました。プログラムに無い事でしたが、この子の一言が「卒園児レース」のきっかけになりました。

 

自分の気持ちを相手に伝える事は、時に難しい事もありますが、自ら行動を起こし伝えたことで変化が起きた「成功体験」をこれからも大切にして欲しいです。

~10

バイアス  斜め。偏り。偏向。(出典 広辞苑)

 

人は「自分は物事を合理的に判断できる」と「疑い」なく思っている。

現実は「専門家の意見」「世間一般の多数派の意見」「与えられた情報」等の物差しで物事を見誤ることがある。

いろいろなバイアスを回避する方法は「自分の頭で考え」情報も「批判的視点」を忘れず主体的に集め、自分で確認することが必要。

先日、夕方に年長の子とカマキリを探したのですが、なかなか見つからず、その子から「夕方は居ないんじゃない?」と言われたので、僕は「分からないよ。去年の冬に年長の子と虫探ししたら、居たし」と話しながら探したら、無事発見して自分で捕獲していました。

夕方でもカマキリは居るし、冬でも探せば虫は居る。

 

身近な所で起こる事も、世界の出来事も自分が偏った見方をしていないか「常に広く・新しい情報」と「批判的視点」で考える姿勢を忘れない様にしたいです。

~9

先日、長縄を回していたら後ろで年長のA君とS君が順番を争っていたので回し終わってから話を聞くと。お互い「並んでいた」と言うので、探偵の様に前後の子に聞き込むと「A君が並んでいた」とのこと。

それでも、双方が「並んでいた」と主張するので困ってしまいました。S君に「トイレとか、他の場所に行ったりしてないよね?」と聞くと「マット(コーナー)に行った」と答えました。

その場合、一言「この場所、取っといて。て周りの子に言うんだよ」と伝えました。

 

 

当たり前だと思う事も経験しないと気付けない時もあるので、集団の中で社会性を自然と身につけて欲しいと思いました。

 


 ~7月

昨年から年中もプラネタリウムに行くようになりました。

 今年の年長さんは解説の方から「星博士」と言われる程「星の事やギリシャ神話」について詳しく知っている子がいました。

 興味関心が、いつ・どこで・何に向くかは、人それぞれ違うと思いますが、きっかけは、周りにいる大人が作る環境だと思います。

プラネタリウムや芸術鑑賞会などの体験は視覚・聴覚に直接伝わるので、子ども達の反応も見ていて楽しいです。

今回の「ヴァイオリン・ピアノコンサート」の坪井さんは、さくら幼稚園の卒園生で3歳頃から、ヴァイオリンを始めて、世界で活躍しています。

 

幼稚園でたくさん遊んでからヴァイオリンの練習をしたと言っていました。目の前で演奏を聴いて心に響けば嬉しいです。


~6月

 幼稚園裏の草むらは、格好の虫取り場所になっています。大人は進んで行く事はないですが、子どもか犬なら喜んで入っていく様な場所です。

以前、子どもの為に草を刈ったら、子どもから虫が居なくなるからやめてくれと言われました。大人が良かれと思ってやっても、裏目に出ることもあります。

クヌギの木は、木陰を提供してくれ、夏には欠かせない避難場所に

なっていたのですが、スズメ蜂やクワガタにとっても大切な食事場としてありました。

今年は、昨年と違い「切り株」だけが残り、太陽の暑さが堪える楽しい「虫取り時間」が待っています。


~5月

旬 

①古代、朝廷の年中行事の一つ。②魚介・野菜・果物などがよくとれて味の最もよい時。③転じて、物事を行うに適した時期 (出典 広辞苑第七版)

 

食べ物に旬があるのと同じ様に、子どもにも幼児期に適した体験(旬)がある。

例えば「(集団での)外遊び・虫取り・泥遊び・合唱」は、子どもの時に経験して、成長するに従って経験することも、自分から進んで行うことも無くなる。

外遊びは、子どもにとってこの世界の不思議に対して、好奇心や探究心や試行錯誤の連続で主体的に動く基礎になる。

また、集団で遊ぶには、他者との対話力が必要になるので自然にコミュニケーション能力も鍛えられる。

大人も自分で課題を見つけ主体的に動ける人・コミュニケーション能力(対話力)の
い人が一般的に求められる。

 

大人は、「旬」を頭の片隅に置いて子ども達を観察してほしい。


~2022年4月~

入園・進級、おめでとうございます。

ここ数年、皆さんも考える事が多くなり「自分の価値観」を認識できたと思います。

僕自身、考える事が多くなり「幼稚園は何の為にあるのか?」「この行事は必要なのか?」等、一つ一つ考えながら取り組む様になりました。

幼稚園生活は、環境を通して育むこと、学ぶ事が中心なので、リモートで行う事が難しいです。日々「人との対話・コミュニケーション」の連続です。社会生活の基本が対話であり、コミュニケーションだと思うので、この時期の「集団生活での学び」がその後の生活に役立つと思っています。

「行事」は、毎日の生活・練習の積み重ねであり、担任と子供達の取り組んできた「成果」を保護者の皆様に発表する場になるので、本番だけでなく「途中経過」も大事にしています。

「クラスのお友達と力を合わせ協力する事」・「目標を持って生活する事」の意味が「実体験」として経験出来るので、できる限りの対策をし、

工夫しなが  ら行っています。

僕は「コロナとの共生」を目指して日々生活をしているので、体調が悪ければ休み園内で感染が広がれば、その都度、考えながら対応し、

子ども達が十年後「第二幼稚園」で過ごせて良かったと思える様な経験を積ませてあげたいです。

感染が心配でお休みするご家庭は、できる限り個別に対応致しますので、担任に相談して下さい。

 「職員一同」力を合わせて参りますので宜しくお願い致します。


~3月~

挑戦 たたかいをいどむこと。積極的に行動を起こすこと。(出典 広辞苑第7版)

創造的な人(スポーツ選手・音楽家・研究者等)は、良い方向を目指し日々挑戦している。

羽生さんが 50 歳で、将棋の主流になっている人工知能を使った研究をし、苦闘する姿をテレビ番組で見ました。「変化を受け入れる素直さがないと良くない。人工知能の指す手はその場面では、最適解でも最善手でない可能性もある。そのまま人工知能の手を受け入れず、自分でも考える」と言っていました。

子ども達も日々新しい事に挑戦している。特に年少さんは自分本位で、周りの目を気にせず挑戦し、失敗を繰り返し上達する。逆に年長になると「失敗する かもしれない」「失敗するのが恥ずかしい」という気持ちが芽生え、挑戦しない子もいる。自分がやりたいのなら、周りを気にせず、恥ずかしいと思わないで、伸び伸びと挑戦して欲しい。

「失敗は成功の母」なのだから。

 

 

 

~2月~

日常の良さに気付くには、日常が失われないと気付けない。

「三密」を回避する事に重きを置くと、遊びの要素「三間(仲間・空間・時間)」が子どもの成長に必要だと気付く。

集団で鬼ごっこ・虫取り・山作り等をすると楽しいから時間が経つのが早い。人数が多いと意見も分かれ自分の思う様にいかない事もある。

仲間と協力したり、時には妥協したり、体験を通して成長する場所(空間)が幼稚園だと改めて感じています。

子どもは、体が動く限り全力で遊びたいし、子どもの意見を大人に取り入れて欲しいと願っている。

 

 

 

~1月~

お遊戯会ご協力ありがとうございました。

12月のお誕生日会で子ども達に「劇をする意味」を考えて欲しいと伝えました。子ども達の思いも、それぞれ違うと思いますが、僕は、集団で一つの目標に向かって「心を一つに」することだと思っていると伝えました。「劇をより良くするためには、出来ない人を批判するより、どの様にすれば良くなるのか教えてあげて欲しい」とも伝えました。

簡単にはいかない事も、根気よく、試行錯誤をしながら向き合えば、できると思います。

年少・年中・年長と少しずつ難易度も上がり周囲との協調性、他者への思い遣りの心が芽生えると嬉しいです。

 

 

 

 

12月~

「運動会」ご協力ありがとうございました。アンケートも読ませて頂きました。来年に活かしていきたいです。

「ほぼ毎日写真」を始めて一年が経とうとしていますが、当初はカメラ1台で僕が撮っていたので、毎日は出来ないと思っていました。

今は、カメラ3台・各学年の職員が撮っているので、何とか毎日続けています。

 

以前、保護者の方に「面倒臭いけど、1日の振り返りと僕自身発見があるので、大切な事だと思っている」と話しましたが、日常生活の中にも、面倒臭くて気が進まない大切な事は、たくさんあると思うので、大変そうだから「却下」ではなく「試してみよう」の「前向きな気持ち」が必要だと思っています。これからも気楽な気持ちで「ほぼ毎日」更新しようと思っています。

 

 

~11月~

人生100年と言われるこの時代「いつまでも好奇心の塊の様な5歳児でいる方法」を佐野洋子さんが絵本「だって だってのおばあさん」で教えてくれている気がします。

絵本では、「98歳のおばあさんが年齢を理由に一緒に暮らして居るネコの誘いを断りますが、99歳の誕生日ケーキがひょんなことでローソクが5本になってしまい、5歳のお誕生日を祝いました。次の日から『ネコと同い年、5歳だから』と誘われたら何でも挑戦してみる」と言う内容です。

佐野さんは後書きで「たくさんのおばあさんにこの絵本を贈りたいのです。だって、おばあさんは一番たくさん子どもの心を持っているんですもの。」と書いています。

年をとって体の至る所が悲鳴を上げている事もあると思いますが、気持ちは、5歳児の様に前向きで好奇心を持つ事はできると思うので、子どもと自分に読み聞かせてみて下さい。

~10月~

 ノーベル賞受賞者・本庶佑名誉教授が受賞会見で研究者に大事なことは、「知りたい」と思うこと、「不思議だな」と思う心を大切にすること、教科書に書いてある事を信じない事、常に疑いを持って「本当はどうなっているのだろう」と自分の目でものを見る。そして納得する。そこまで諦めない。と言っておられましたが、世の中の歴史を考えても、指導者やメディアが間違っていた事は、枚挙に暇(いとま)がありません。

コロナに関しても世界的に広がった疫病としては、悲劇的大惨事ですが、他の先進国のような医療状態に陥っていないのは、医療制度が優秀なのか、国民のマスクに対する考え方が肯定的だからなのか、欧米に比べ肥満など(生活習慣病)体質による違いなのかなど考えても答えは出ませんが、情報は以前より手に入るので「よく考える」ことができると思います。

子どもに対しても経験をたくさん積ませてから自分の価値観の中で情報を分析し考える習慣を身につけさせ、意志を持った決断が出来る様になれば、その子の人生は、明るくなると信じています。

お手本(ロールモデル)としての「保護者リレー」も大切な事だと僕は思っています。

 

~9月~

 夏休み前、年少組のYちゃんは、会うと「幸せ!」と連呼しているので、「何か良い事あったの?」と聞くと返答が「幸せ!」僕は「よかったね」の会話が数日間ありました。

「オリンピック 400mメドレー・リレー」のインタビューで競泳の池江璃花子選手が「決勝の舞台で泳げることができて、すごい幸せだなと思います」渡部選手「最高のメンバーでリレーを泳げて、本当に幸せでした」五十嵐選手「本当に、ここの決勝に残れただけでも、この4人で泳げたことだけでも幸せです・・・」と言っていました。

Yちゃんも僕から見ていて、幼稚園で普通に過ごしている様に見えてもYちゃんには、お友達に囲まれて楽しく遊べる事がオリンピックの舞台での特別な環境の様になっているのかなと思います。

「コロナ禍」で思い通りの生活が出来ないからこそ「日常に対する感謝」・「小さな幸せ」がより感じられる様に思います。

~7月・8月~

 初めての試みとして今年の夏は、幼稚園で「夏休み自由登園」を試しにやってみたいと思います。

井戸水を使った水遊び・泥遊び・虫取りを中心に子ども達がやりたい事を行います。

 昔は、年中(二年保育)からの入園が当たり前でしたが、時代の変化と共に今は「2歳児プレ」・「預かり保育」もあり、どこの園も変わりました。

 子どもにとって幼稚園で友達・自然との関わりから得られる経験は、テレビゲーム等をして過ごすより有益だと思います。

 よく発達支援の専門家が「この子は経験不足・幼いだけです」等と指摘しますが「子どもはみんな経験不足だし、生まれたばかりなので幼いだろ」と言いたくなります。

 ただ不器用さが際立っている点があり、そこを改善することが本人にとって「より良い生活」につながり、周りが望ましいと思うなら、大人が支援する事は大切な事だと思います。

 長い夏休みなので、「田舎に帰ってのんびり過ごす事」や「普段出来ない体験をしに行く事」もいいと思っています。

~6月~

 コロナの変異が次から次に報じられており、今までの対策「3つの密(密閉・密集・密接)」のどれか一つの密でも感染拡大すると報じられ、保護者の方も不安に感じられていることと思います。

 また、ワクチン接種が進んだ国は、感染拡大を抑えられつつあるようで希望が持てます。

今年も熱中症対策で外遊びの時は、マスクを外しますが遊ぶ様子を観察すると密集・密接は、避ける事が難しいです。

 このような状況なので、プール活動もどの様に扱うべきか迷いましたが、水遊びをする機会を与えても良いのではないかと考え、各ご家庭の判断でプールに参加することにいたしました。(尚、体育指導ではありません。)

 子ども達も、スーパーコンピューター(富岳)の映像やニュースでマスクの重要性が理解できているので、激しい運動の時もマスクをしている子もいます。

 そのような子には、「人がいない場所で呼吸を整えて大丈夫だよ」と声かけしております。

~5月~

『朝令暮改』 命令や方針が絶えず改められあてにならないこと。

『君子豹変』 君子は過ちがあれば速やかにそれを改め、鮮やかに面目を一新する。

                                (出典広辞苑)

 昔から方針がコロコロ変わる事は、悪い事とされてきましたが、変化の激しい今日この頃は、

間違った「方針」や「考え方」だと認識した時点で、より良い方へ方針転換する事が大切です。

変化に対応する力は「柔軟性」と言い換える事もできますが、大人になると我を通し、頑なに

なってしまう事もあると思います。

「事実」と「根拠」を元に、自分の頭で考えて行動してもそれが「正解」だとは限りませんが、

「上の人が言っているから」とか「国が宣言を出しているから」といって思考するのを止め

ないで「どうしてだろう?」・「どうする事が最善なのか?」と考える事が求められています。

~2021年4月~

 入園・進級おめでとう御座います。

《コミュニケーション》

社会生活を営む人間の間で行う知覚・感情・思考の伝達。出典広辞苑

 子ども達にとっては、初めての集団生活に入ると病気にうつる確率も一層高くなりますが、「隔離した生活」より、良い面が大きいので今の社会があります。

集団の中では、「コミュニケーション能力」が鍛えられ、お互いの「思う事」を上手に伝えられないと衝突を起こします。

 以前、基礎の所から保護者の方と作ったボルダリングは、「滑り台」と違い、いろんな場所から登ったり降りたりすることが出来る遊具になっています。たくさんの子どもで遊ぶ時は、「一方通行」の方が効率的ですが、その分、遊具の自由度が制限されます。

「一方通行で無い使い方」をする時には、「お互いの声掛け」が必要になってきます。年少さんだと「逆走する子」や、下を見ずに降り、下にいる子の手を踏む事もあります。

 年少さんは上る事はできるが、高すぎて降りられない子もいます。その時に年中長の子に「困っている子に教えてあげて」と大人から声かけすることが大事なことだと思います。

 コロナ禍で価値観の違いによる衝突が世界中で起きていますが、遊ぶ子ども達を通して「コミュニケーションの大切さ」を感じています。

 今年も職員一同、一丸となって臨機応変に取り組みたいと思います。保護者の皆様の御協力宜しくお願い致します。

~3月~

 先代園長テル子先生はよく「どうせやるなら、ニコニコと」言っていました。「やらなければならない事」を怒りながらやっても、自分なりの楽しみを見つけてやる事も、同じ事ならニコニコしてやる方が、自分も周りもいい気持ちと言っていました。

これと同じ様な事を、池上彰さんも就活生に向かって言っていました。

古代ローマの石切場で石を切っている青年がいて旅人が「何をしているのですか?」と聞くと青年が「いまいましい石を切っているところだ!」と答え、同じ仕事をしている別の人に同じ質問をしたら「神聖な教会に使う石を切り出しているところです。」との答えだったそうです。同じ仕事でも気持ちの持ち様で全く違うので、仕事の丁寧さや仕事を吸収する速さが変わるのではないでしょうか。

~2月~

 毎年恒例のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団・ニューイヤーコンサートが教育テレビで生放送されました。

今回は無観客での開催でしたが、全世界に生中継され、指揮者のリッカルド・ムーティさんが「音楽に対する思い」を語りました。

「音楽は喜びや希望、平和、兄弟愛そして何よりも愛を皆さんに届けることができます。音楽家にとって音楽は仕事ではなく使命なのです。では何の使命なのか?それは『この社会をより良いものにする』という使命です。若い世代にとってこの一年は深い思考を出来ないまま過ぎてしまいました。『健康』は私達にとって最も重要なものです。けれども『心の健康』も重要です。そして音楽こそ『心の健康』を助けてくれます。文化という大切な要素が私たちの社会をより良くしてくれるのです。このメッセージを持って私たちは『美しく青きドナウ』を演奏いたします。この美しい喜びに溢れ、また悲しみに溢れ、生と死に溢れた音楽を演奏します。今年は良い一年になるように期待しています!私の仲間のウィーン・フィルの皆さんとともに、新年あけましたおめでとうございます!」

今回、緊急事態宣言地域での「合唱」や「鍵盤ハーモニカの演奏」などが出来ませんが、工夫をして「自宅」や「人のいない場所で歌う」事は、良い事なのでムーティさんが仰っていた様に「心の健康」の為にもバランスを取りましょう。

~1月~

 お遊戯会ご協力ありがとうございました。

子ども達が保護者の前で演技できた事は、本当に良かったと思います。

芸術鑑賞会で、さくら幼稚園を卒園した姉妹の「ヴァイオリンとピアノのコンサート」を聴く機会がありました。

坪井さんは、 子ども達に演奏後「今回聴いた曲を、いつの日か聴いた時に幼稚園で聴いた曲だと気付いてくれたら嬉しい」と仰っていました。

坪井さん自身、年少の頃からヴァイオリンを始めて、「楽しい」と思える瞬間があったから続けられたのだと思います。

もちろん才能があるから活躍しているのでしょう。

きっかけは、どこにあるか分かりませんが、小さな頃から熱中できる事を見つけ、成功している人を見て憧れる事は、良いことだと思います。

僕は何事も「経験」を通して「学ぶ」事が幼児期に必要な事だと思っているので、目の前で演奏を聴く「経験」が子ども達の心に響けば嬉しいです。

ホームページに日々の様子を「ほぼ毎日写真」として載せているので、是非見てください。

 

~12月~

「やれば、できる。」この言葉は、年長のHさんが失敗した仲間や自分自身に向かって言っている言葉なのですが、先日亡くなったノーベル物理学賞受賞、小柴昌俊さんの著書の題名も「やれば、できる。」です。

小柴さんは、中学1年生の頃に「小児マヒ」に罹りました。手足が不自由になり、人生の目標が次々に打ち砕かれ一番辛い時期だったかもしれないと回想していました。

そんな中学生の小柴さんを救ったのは、大学を出たばかりの若い先生との出会いでした。とても優しく、好きな先生が教えている教科が数学だったから数学が好きになったそうです。それからも良き師となる出会いに恵まれたと書いてありましたが、高校生以降の出会いはいつも自分から飛び込んでいっている様に感じました。

小柴さんの様に行動力がある人は珍しいですが、「やれば、できる。」

を読むと「積極的に新しいことに挑戦する」ことの大切さを改めて感じました。

 ~11月~

「環境」と聞くと自然環境や生活環境、学習環境などを思い浮かべると思います。

8月1日に紫人参のタネを分園の畑に撒きました。発芽は270本程度と書いてあったので、毎日水を撒き発芽を待っていたのですが、発芽したのは7本程度でした。猛暑で気温が高く発芽の温度(15~25℃)を大幅に超えたのが人参には、「過酷な環境」でした。

昨年、遠足で7色のロウから数枚「好きな色」を選んで混ぜ、キャンドルの制作をしました。年少さんのA君が全部オレンジ色を選んでいたので「違う色もあるよ」と声をかけたのですが「いい」というので「これで大丈夫なの?」と担任に聞いたら「A君はオレンジが好きなんです」との回答でした。

その時、僕と担任とで「出来栄え」を気にしてA君の選んだ色を変えて制作したら、A君にとっては、「過酷な環境」になったのではないでしょうか。

植物も人も成長の過程で「適切な環境」があると思いました。

~10月~

 価値観[何に価値を求めるかという考え方。出典広辞苑]

 年代・世代により「価値観」は変わります。

 犬の散歩道に「トチの木」があり、普通なら通り過ぎますが、子どもにとっては「価値ある物」だと思い、実を沢山拾ってきて園庭に撒きました。

 大人になると貝殻・木の実・葉・小石などに価値(ねうち)を見出さなくなりますが、子どもの頃は、飽きもせず集め、時には大切に持ち帰ったりもします。

 私も子どもから「価値ある物」を貰います。時には、返却を求められ困ってしまう事もあったので最近は、ポケットに半日だけ保管しています。

 大人になると価値観が固定化され柔軟さが失われてしまいますが,子どもが大人の「堅い頭」に「違う考え方がある」と気付かせてくれます。

 運動会、ご協力頂きありがとうございました。

~9月~

*長縄のルールは、子どもが自分のやりたい飛び方を最初に言う。最低10回まで挑戦できる。順番を守る。邪魔をしない。

 

「お手本(ロールモデル)」と聞くと、「良く物事ができる子」と思ってしまいますが、「不器用でも諦めない年少さん」も、みんなの「お手本」になれると思いました。

昨年、長縄に挑戦する年少さんで飛ぶタイミングが合わず、まさに「七転び八起き」を繰り返していたので、並んで居る周りの子が「辞めた方がいい」「まだ早い、ヘビがいいよ」と助言をし、また僕自身も心の中で「無理かな〜?」と思い「ヘビにする?」と提案しましたが、聞かずに粘り続け1回2回跳んで転び、10回まで頑張って跳んで交代しました。それから毎日挑戦して跳べるようになった意志の強い子がいました。

今年も同じ様な年少さんがいたので、昨年の経験もあり、周りの「お手本」になれるのではないかと思い「根気強く回し」また「その子自身も諦めず」できるようになりました。「お手本」は、周りを見渡し観察力があれば「ああなりたい」「あれは見習ったらよくない」と無意識でも思うことがあるので、子ども達の「良いお手本」でありたいと思いました。

~8月~

「継続は力なり」とは、当たり前の事ですが、続ける事は、言葉で語る以上に難儀な事です。

昨年の冬から長縄を回すことが好きで晴れていれば毎日回しているのですが、数ある魅力的な遊びの中でも毎回並んでくれる子が数名います。

その中の一人は「練習するから上手くなり、上手いからより練習する」の好循環で自粛以前には、400回以上は飛べるようになっていました。自粛明けに久しぶりに長縄をやると50回程度で引っ掛かるようになっていました。

子どもは、吸収するのも早い分忘れるのも早い。

けれど、今もその子は、長縄が好きなようなのでよく並んで挑戦してくれるので、以前のように自分の限界まで飛んでくれるでしょう。

~6・7月~

いきがい[生き甲斐]

生きるはりあい。生きていて良かったと思えるようなこと。出典広辞苑

 

「生き甲斐」と聞くと大層、立派な事の様に思われるかも知れませんが、先代の園長は毎日幼稚園に通う事が「生き甲斐」になっていたのだと思います。

幼稚園では、いつも子ども達・保護者・先生に「いじめ」や「卑怯な事」をしないと話しておりました。

送迎の車内でも「いじめ」は良くないと言っていたので、私が「いじめは大人でもするから無くすのは不可能だよ」と反論したら「それでもよくない事、私は死ぬまで『いじめ反対』」だと言っていました。

骨折をして、幼稚園に通えなくなると、「生き甲斐」を失ったのか意欲と気力が無くなり、みるみる元気が無くなって行きました。

生き甲斐は、人それぞれだと思いますが、「いじめ」のような古今東西どこでも問題になっていることを、子ども達に言い聞かせ考える機会を提供することを「生き甲斐」にするのもいい事だと思います。

皆さんも生活が変わり、今まで気付けなかった「生きるはりあい」に気づく事があると思います。

生涯「生き甲斐」を持って生活する事は、幸せな事だと思います。

~5月~

欧米では徐々に経済活動が再開され始め「コロナとの共生」と言う言葉も聞かれるようになりました。

日本でも医療崩壊を防ぐ体制が整うまで、行動の「自粛」「不要不急」の生活が続きそうです。

前回も触れましたが「コロナとの闘いは長いマラソン」なので大人がどうする事が最善か考える事が大切です。

幼児期は、遊び(環境)を通して集団での社会性(相手に共感する力・順番を待つなど遊びの約束・課題に対し試行錯誤しながら挑む力など)を身につけます。 

先日発表された、「新しい生活様式」では以前のような生活は難しいですが、工夫して社会性を身につける場所が子ども達に必要です。

今は分園の園庭開放など限られた支援ですが、小川・築山・ハーブ・果樹・トカゲ・バッタなど子どもの好奇心をくすぐる要素が散りばめられているので親子で童心に帰って楽しんでご利用下さい。

心に余裕がなくなると短気になり他人に共感する事が難しくなるので、余裕が無くなった時は、深呼吸して子どもの笑顔を思い出しましょう。

~2020年4月~

 ご入園・ご進級おめでとう御座います。

入園式・始業式は、改めて安心して行える時に行います。

今回「自粛登園」にあたり、いろいろなご意見があると思います。園としては、まずは子どもの安心安全を守る事が一番だと考えております。しかしながら、さくら第二幼稚園は認定こども園としての役割もあります。教育・福祉両方の機能を持っているので、すぐに「休園」と言う判断はできません。

 

山中伸弥教授は、ホームページで「短距離走ではなく、1年は続く可能性がある長いマラソン」と書いていました。「感染がインフルエンザと違い爆発的に増え、シンガポールのように常夏の地域でも感染する事が分かっているので、インフルエンザと違い、暖かくなって症例が減ることも期待出来ない、長い闘いになる」と言っていました。

 

若い人が高齢者や持病を持っている方に感染させないこと。

我慢が必要で不要不急の外出を控えることも必要と言っていました。

「医療崩壊」を起こさない程度の緩やかな感染の山にする事も大切。

この様に、専門家の話を見聞きすると「家にこもり人との接触を減らす事」が一番の対策になると思います。

しかし、世界のニュースを見ると「外出禁止」の影響で「家庭内暴力」も多くなっている事も問題になっています。

 

私は、ご家庭の環境は人それぞれで、今は我慢が必要な時ですが、自宅で過ごす事が厳しい方や働かなくてはいけない職種の方もいると思うので開園いたします。

 

職員一同、一丸となって「できる事を考え」取り組みますので、保護者の皆様の御協力宜しくお願い致します。